04.2026.08

五十肩に伴う痛みに対して、メントールやジクロフェナクなどを含む外用薬は、急性期の補助的な使用として日常的な外用ケアに活用されています。発症率は全人口の2〜5%とされ、40〜60歳代に多く見られる肩関節周囲炎の痛みへの対処法として、外用薬の成分特性と正しい使い方を理解することが重要です。

外用薬について知っておくべき重要な事実

【事実】メントール(L-menthol)はTRPM8受容体を選択的に活性化し、急性および炎症性疼痛に対してTRPM8依存性の鎮痛効果を発揮する。経口・局所塗布を含む複数の投与経路で効果が確認されている(PubMed, 2013)。

【事実】ベルベリン(黄柏の主要アルカロイド)は、NF-κBシグナル伝達経路の活性化阻害およびIκBα分解の抑制を通じて、IL-1β、IL-6、TNF-αなどの炎症性サイトカイン産生を抑制する(Phytomedicine, 2024 / ScienceDirect)。

【事実】大黄(ダイオウ)に含まれるエモジン(emodin)はCOX-2酵素の発現抑制を通じてプロスタグランジンE2(PGE2)の産生を阻害し、NF-κBシグナル伝達経路の活性化抑制によって炎症性サイトカインの放出を抑制する(PMC, 2020)。

【事実】2024年のランダム化比較試験において、外用NSAIDs(ロキソプロフェンハイドロゲルパッチ)と理学療法の併用が、五十肩患者の肩痛の緩和と肩機能の回復に有意に寄与したことが報告されている(PubMed, 2024)。

【事実】五十肩(肩関節周囲炎)の発症率は全人口の2〜5%であり、糖尿病患者では発症頻度が約10%増加する。40〜60歳代に好発し、非利き手側や両側罹患(約20%)が多い(日本整形外科学会)。

【事実】L-メントールは皮膚角質層の脂質構造に作用し、ジクロフェナクなどの有効成分の経皮浸透を促進する浸透促進剤としても機能する(PMDA審査報告書 ジクトルテープ75mg, 2021)。

五十肩に外用薬は使えるのか 薬剤師が解説

五十肩とは何か - 肩関節周囲炎の定義と症状

五十肩は医学的には肩関節周囲炎(adhesive capsulitis)と呼ばれ、明らかな外傷なく肩関節の痛みと可動域制限が生じる疾患です。日本整形外科学会によると、中年以降に好発し、肩関節を構成する骨・軟骨・靱帯・腱などの組織が加齢により変性し、炎症が起こることで発症するとされています(日本整形外科学会)。

発症は急性期(炎症期)、拘縮期(凍結期)、回復期の3段階に分かれます。急性期には安静時でも強い痛みが生じ、特に夜間痛が特徴的です。拘縮期には痛みはやや軽減するものの、関節の動きが著しく制限されます。全人口の2〜5%がかかるとされ、糖尿病を有する方では発症頻度が約10%増加するという報告もあります(日本整形外科学会)。非利き手側や両側(約20%)に発症する割合が比較的高いことも知られています。

段階 主な症状 推奨外用薬タイプ
急性期(炎症期) 安静時痛・夜間痛 NSAIDs外用剤(ジクロフェナク、ロキソプロフェン)
拘縮期(凍結期) 可動域制限・こわばり 生薬由来成分(メントール、ベルベリン含有)
回復期 徐々に改善 日常ケア用外用薬(温感・生薬成分)

外用薬の使用が特に検討されるのは急性期から拘縮期にかけてであり、この時期の痛みに対する日常的な外用ケアとして位置づけられます。40歳以上で肩に痛みや動かしにくさを感じた場合、まず整形外科を受診し、正確な診断を受けることが最も重要です。

五十肩の外用薬にはどのような成分が含まれ、どう作用するのか

五十肩に使用される外用薬の成分は、NSAIDs系消炎鎮痛成分(ジクロフェナク、ロキソプロフェン)と生薬由来成分(ベルベリン、メントール、エモジン)の2系統に大別され、それぞれ異なる分子経路を通じて局所の不快感に作用します。

メントール(薄荷脳)の鎮痛機序

メントールは末梢感覚神経に存在するTRPM8(transient receptor potential melastatin-8)受容体を選択的に活性化し、冷感覚を誘発すると同時に鎮痛作用を発揮します(PubMed, 2013)。Liu らの研究では、L-メントールが経口・腹腔内・局所塗布など幅広い投与経路でTRPM8依存性の鎮痛効果を示すことが確認されています(PubMed, 2013)。さらに、TRPM8の活性化はTRPA1チャネルの活性を抑制し、機械的感受性を低下させることで炎症性疼痛を軽減するという相互作用も報告されています(PMC, 2022)。

ジクロフェナクの消炎機序

ジクロフェナクナトリウムは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の一種で、シクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害してプロスタグランジンの生成を抑制することで、炎症と痛みに作用します。PMDAの審査報告書によると、外用剤として皮膚から浸透し、局所の炎症部位に到達する設計がなされています(PMDA, 2021)。2024年のランダム化比較試験では、ロキソプロフェン含有ハイドロゲルパッチと理学療法の併用が五十肩の肩痛緩和と機能回復に寄与したことが報告されています(PubMed, 2024)。

伝統生薬成分の薬理作用

黄柏(オウバク)に含まれるベルベリン(berberine)は、NF-kBシグナル伝達経路の活性化を阻害し、炎症性サイトカイン(IL-1b、IL-6、TNF-a)の産生を抑制する作用が複数の研究で確認されています(Phytomedicine, 2024 / ScienceDirect)。外用での局所適用において、JAK-STATシグナル伝達経路の抑制を介した抗炎症効果も報告されています(PubMed, 2024)。大黄(ダイオウ)に含まれるエモジン(emodin)などのアントラキノン類は、COX-2酵素の発現抑制を通じてプロスタグランジンE2(PGE2)の産生を阻害し、NF-κBシグナル伝達経路の活性化抑制によって炎症性サイトカインの放出を抑制することが確認されています(PMC, 2020)。

薬剤師の視点

これらの成分は三つの層で作用します。第一層ではベルベリンとエモジンがNF-κBおよびCOX-2経路を介して炎症性サイトカインとPGE2の産生を抑制し、第二層ではメントールがTRPM8受容体を活性化して冷感と侵害受容器の脱感作による鎮痛を誘発し、第三層ではメントールが角質層に作用して他の有効成分の経皮浸透を促進します。複数のメカニズムが同時に作用することで、急性期・慢性期それぞれに対応できます。

薬剤師の立場から、急性期の炎症が強い時期にはNSAIDs外用剤を優先し、慢性的な肩のこわばりや日常的なケアには生薬由来成分を含む外用薬を補助的に活用するという段階的な使い分けを推奨します。

外用薬の有効性は臨床研究で確認されているのか

2024年のランダム化比較試験では、外用NSAIDsと理学療法の併用が五十肩患者の疼痛スコアを有意に低下させることが報告されています(PubMed, 2024)。2025年にPubMedに掲載されたナラティブレビューでは、五十肩の病態生理は未だ完全には解明されていないものの、外用消炎鎮痛剤を含む保存的管理が初期段階の標準的なアプローチとして位置づけられています(PubMed, 2025)。

外用NSAIDsについては、2024年のランダム化比較試験(RCT)において、ロキソプロフェン含有ハイドロゲルパッチを理学療法と併用した群で、肩の疼痛スコアの有意な低下と可動域の拡大が確認されました(PubMed, 2024)。この研究は、外用NSAIDsが五十肩の急性期における補助的な疼痛管理手段として有用であることを示唆しています。

一方、漢方外用薬の成分に関しては、ベルベリンの外用適用によるJAK1/STAT1シグナル伝達経路の抑制を介した抗炎症効果がマウスモデルで確認されています(PubMed, 2024)。また、メントールの鎮痛メカニズムについては、Pergolizziらが2018年のレビューで、TRPM8受容体の活性化による冷感誘発と侵害受容器の脱感作という二重のメカニズムを報告しています(PubMed, 2018)。

これらの研究データは、外用薬が五十肩の包括的な管理における一つの補助的手段であることを裏付けています。ただし、外用薬単独での使用ではなく、医師による診断と理学療法を基盤とした上での併用が推奨されます。

五十肩に外用薬が向いている人・向いていない人とは

急性期に炎症性の痛みがある方や内服薬の胃腸副作用を避けたい方が、外用薬の補助的使用の主な対象です。

外用薬の使用が検討される方

急性期の炎症に伴う痛みが日常生活に支障をきたしている方、内服薬の副作用(胃腸障害など)を避けたい方、理学療法やストレッチの前に局所の痛みを緩和したい方、夜間痛により睡眠が妨げられている方などが、外用薬の補助的使用を検討する対象となります。特に、消化器系に既往歴がある方にとって、外用剤は全身性の副作用リスクを低減できる選択肢の一つです。

使用に注意が必要な方

皮膚が敏感な方やアレルギー体質の方は、外用薬の成分に対して接触性皮膚炎を起こす可能性があるため、事前にパッチテストを行うことが望ましいです。妊娠中・授乳中の方は、一部のNSAIDs外用剤で使用が制限される場合があります。また、拘縮期以降で痛みよりも可動域制限が主な問題となっている場合は、外用薬よりも理学療法やリハビリテーションが優先されます。

外用薬の正しい塗り方と使用上の注意点とは

入浴後に患部を清潔にした状態で薄く均一に塗布することが、成分の経皮浸透の観点から推奨される使用方法です。

塗布の基本手順

まず患部を清潔にし、水分を拭き取ります。適量を手に取り、患部に薄く均一に塗り広げます。強くこすりつけるのではなく、軽いタッチで塗布することが重要です。入浴後は血行が促進されているため、成分の浸透が高まりやすいタイミングとされています。

使用上の注意

複数の外用薬を同じ部位に重ね塗りすることは避けてください。NSAIDs外用剤は一般的に1日2〜4回の使用が目安ですが、製品ごとの用法用量を必ず確認してください。傷口や湿疹のある部位への使用は禁忌です。2週間以上使用しても痛みが変わらない場合は、整形外科への受診を検討してください。

維益安(ウェイイーアン)などの伝統的な漢方外用薬は、日常的な外用ケアとして塗布することが想定されています。薬機法に基づき、本製品は医薬品ではありません。使用にあたっては、成分表示を確認し、自身のアレルギー歴と照合することを推奨します。

よくある質問

五十肩に外用薬を使うとどのような使用感があるのか

メントール含有の外用薬は塗布直後に冷感を感じ、TRPM8受容体の活性化を通じて局所の不快感の軽減に寄与します。NSAIDs外用剤は塗布後30分〜1時間程度で浸透し、局所の炎症部位に作用するとされています。

五十肩の急性期と慢性期で外用薬の選び方はどう異なるのか

急性期は炎症が主体であるため、ジクロフェナクやロキソプロフェンなどのNSAIDs外用剤が補助的に使用されます。慢性期は血行促進や筋緊張の緩和が重要となるため、温感成分や生薬由来成分を含む外用薬が日常ケアとして検討されます。

外用薬と湿布はどちらを使うべきなのか

塗り薬と湿布はどちらもNSAIDsを皮膚から浸透させる剤形です。肩のように可動域が広い部位では、動きを妨げにくい塗り薬やゲル剤が使いやすいとされています。湿布は就寝時など安静にしている時間帯に適しています。

五十肩に漢方外用薬を使う場合の注意点は何か

漢方外用薬に含まれる生薬成分にアレルギーがないか確認することが最も重要です。使用前にパッチテストを行い、24時間後に発赤やかゆみがないことを確認してから本格的に使用を開始してください。

五十肩の外用薬はどのくらいの期間使用するのが目安なのか

NSAIDs外用剤は一般的に2週間を目安に使用し、変化がなければ医師に相談することが推奨されます。生薬由来の外用薬は日常的なケアとして継続使用が想定されていますが、皮膚の状態を定期的に確認してください。

五十肩の外用薬と内服薬を併用しても問題ないのか

外用NSAIDsと内服NSAIDsの併用は、同系統の成分が重複するため、医師や薬剤師に相談の上で判断してください。漢方外用薬と内服消炎鎮痛剤の併用は、作用機序が異なるため一般的に問題は少ないとされていますが、必ず専門家に確認してください。

ベルベリンを含む外用薬の作用機序とはどのようなものか

ベルベリンはNF-kBシグナル伝達経路を阻害し、炎症性サイトカイン(IL-1b、IL-6、TNF-a)の産生を抑制します。外用での局所適用により、JAK1/STAT1経路の抑制を介した抗炎症作用が動物モデルで確認されています。

五十肩が外用薬だけで回復することはあるのか

五十肩は自然経過で1〜3年程度かけて回復に向かうことが多いとされています(日本整形外科学会)が、外用薬のみでの対応は推奨されません。外用薬はあくまで痛みの補助的な緩和手段であり、医師の診断、理学療法、運動療法を組み合わせた包括的な管理が基本です。

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泰允薬品薬剤師監修|台湾製造

参考資料

出典:日本整形外科学会:五十肩・肩関節周囲炎について https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/frozen_shoulder.html

出典:PubMed:TRPM8 is the Principal Mediator of Menthol-induced Analgesia of Acute and Inflammatory Pain https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23820004/

出典:PubMed:Efficacy and safety of topical NSAIDs combined with physiotherapy for frozen shoulder: a randomized controlled trial https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38884511/

出典:Phytomedicine / ScienceDirect:Inhibition of inflammation by berberine: Molecular mechanism and network pharmacology analysis https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0944711323006165

出典:PMC:The distinctive role of menthol in pain and analgesia https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9726761/

出典:PubMed:The role and mechanism of action of menthol in topical analgesic products https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29524352/

出典:PubMed:Frozen shoulder: a narrative review of current treatment concepts https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41376443/

出典:PMDA:ジクトルテープ75mg 審査報告書 https://www.pmda.go.jp/drugs/2021/P20210311002/650034000_30300AMX00244_A100_1.pdf

出典:PubMed:Topical application of berberine ameliorates imiquimod-induced psoriasis-like dermatitis via suppressing JAK1/STAT1 signaling pathway https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38352056/

出典:PMC:Emodin: A Natural Anthraquinone with Diverse Pharmacological Activities https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7432345/

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